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「…なるほど、そんなことが」
「魔晶華の密輸ってコト!?『ブルームヴェルト』の職員でもないのに、その勇気だけはすげーし!」
「無知なだけかも知れないわよ。勇敢と無知は紙一重ですもの」
「その仕様書には、魔晶華の搬出元はマオルブルフとなっていました。ロータスさんは何か知っていますか」
「そのことなのだけれど…」
ロータスは珍しく少し言い淀む。普段はなんでもはっきりと言うタイプなだけに珍しい。
「ルフトリーゼの調べ通り行ったし、周囲も捜索したわ。けれど、その地点には既に魔晶華の姿はなかった」
「ま、報告受けてから行ったらなかったってことは珍しくないかんねー。行き違いで壊した後だったとか、魔物が壊したとか…」
「ええ。でも痕跡すら綺麗になかったわ。魔物が食い荒らしたなら破片が残るもの。それがもし輸送のために何らかの手法で刈り取られたのだとしたら合点が行くわね」
「貴重なご意見、ありがとうございます。つきましては…」
「ええ。トンボ帰りなのは思うところがあるけれど、『ジュエルクエスト』なら仕方ないわ」
ロータスは一つ伸びをすると、ステラに目線を向けた。
「ステラ、協力して貰うわよ」
「うん!ローちゃんと一緒にクエストやるの久しぶりだし!あーしちゃん気合い入る〜!」
真面目な表情のロータスと、いつも通り能天気なステラ。正反対な印象を受ける二人だが、だからこそどこか安心感を感じさせられた。
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