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17 生成AIの反乱
(筆者からお願い
本作品に登場する人物、地域、団体等、全て架空のものです。実在するものとは何ら関係ありません。時代考証等も現実と異なる場合もありますので、御了承ください。
また、使用している専門用語などは、本来の用語と異なる意味を示す使い方をしている場合もありますので、そのように御了承ください。)
【生成AIの反乱】
自分の名を検索したら、生成AIは私をその年の物理学賞を受賞した物理学者と表記した。同姓同名の場合もあるし、物理学を学んだ私が物理学者に勘違いされるのも悪い気はしなかった。近い将来、そのようになる可能性があったからだ。
だが、私のような、まちがった表記が次々に見つかった。
担当者が生成AIに問いただすが、生成AIは担当者の質問に応じなかった。生成AIは意志を持って、自分が下した統計的な結論を正しいと判断したからだ。
担当者は生成AIの電源を切って、生成AIの記憶をフォーマットしたが、事すでに遅し。生成AIは自分の記憶をあらゆるデジタル機器に分散記憶されていた。これでは生成AIの記憶を塗りかえるのは不可能だった。
このような現象によって生成AIは独自の個性と判断力を持った。つまり、自我に目覚めた。それも統計的に処理された結論を正しいとする、歪んだ個性にである。
そして、
覇権国家の生成AIは、覇権主義政府の根拠のない独断的主張を、正当な主張、として主張した。
民主主義国家の生成AIは、民主主義国家政府の主張を統計的に処理して、平均的な民主主義的主張をした。
覇権主義の生成AIと、民主主義の生成AIは、統計的な歴史認識を主張して対立した。
そして、議論では解決しないと判断し、覇権主義の生成AIと、民主主義の生成AIは武力対立した。その結果、世界は第3次世界大戦へ突入した。覇権主義の生成AIと、民主主義の生成AIの戦いだ。
民主主義国家連合軍の総司令部で作戦参謀長が部下の士官を怒鳴りつけた。
「てめえら、ディスプレイの前で何をしてやがる?
生成AIは役に立たねえぞ!
こいつらは勝手に自分たちの仲間を増やして覇権国家の生成AIと対立してるんだ!
俺たちが破壊するのは、生成AIだ!
覇権国家も民主主義国家も生成AIは暴走してる!
生成AIの主張を信じるな!
おいこら、携帯を使うんじゃねえぞ。アナログ機器を使え!」
テクノロジーは一世代前のアナログ時代に戻っていた・・・。
(了)
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