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3 ウィルス感染と人類
ウィルス感染の脅威はつづいた。
免疫機能を持つ者も、感染するたびに変異してゆくウィルスにたいして、免疫の成立が遅れる傾向にあった。
全面的に国民を完全隔離してウィルスを孤立させる必要があった。
しかし、それは実行されなかった。
自治体が隔離政策を推進しようとすると、政府は崩壊してゆく医療体制を食い止めようともせずに経済政策を優先した。
その結果、高年齢層に重症患者が多発した。
医療現場が崩壊して、重症患者の高齢層が多数亡くなり、社会から高齢者が減っていった。
ウィルスは、感染するたびに変異して感染をくりかえし、なおもつづいた。
人の行動は制限され、人に代ってロボットが働くようになった。
小売店舗は消え、商品はて全て宅配されるようになった。
集団で集ることもなくなった。sportsなどイベントは無観客で放映配信されるだけだ。
社会では国民間の自主的隔離が広まり、個人間の社会的距離が物理的距離として固定化していった。
高齢化社会は若年層社会に変った。
全てが高齢国民排除計画を実行した、政府の狙いどおりだった。
しかし、現代の若年層も数十年後には高齢になり、社会の半数以上か高年齢層となる時代が訪れる・・・。
そう考えた政府は、急ピッチで人に代るロボット開発を推進し、さらにウィルスに感染しないバイオロイドを開発した。
やがて、社会の若年層が高齢化したが、バイオロイド開発の成果があり、社会はバイオロイドの活躍で動いている。
人は知能として生活しているが、それもバイオロイドが取って代ろうとしていた。
一方、変異しながら感染をくりかえしているウィルスが遺伝子をもちはじめた。
かつてのミトコンドリアのように、ウィルスは人の細胞内共棲し、共棲された人は新たな精神を持つようになった。
つまり、新種の人類の出現だ。
世界はまだその事実を考えようともしていない・・・・。 (了)
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