3.父の実家の猫の思い出 その1

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 トンボがたくさんいる庭に、猫がやって来た。よく覚えていないが、私のほうが猫を追って庭に出ていったのかもしれない。  その猫は、子育て中の母猫だった。どんな毛色だったかは忘れてしまった(三毛だったかもしれない)。  さっそく、一匹のトンボが猫に向かって飛んできた。  よせばいいのに、そのトンボは例の如くに、猫の頭からちょっと高いところを、猛スピードで飛んできて、通り過ぎたらUターンして戻ってくるということをやり始めた。  戦いはそんなに長くかからなかった。1回目か2回目のUターンの後、猫が伸び上がってトンボを捕らえたのである。  猫は、ゆうゆうと獲物のトンボをくわえて、家の中に入っていった。  そして、そのトンボを、自分の子猫に食べさせた。  子猫は1匹だけで、母猫が見守る中、そのトンボをムシャムシャとおいしそうに、4枚の羽だけ残してきれいに平らげた。  猫は獲物を取ると、半殺し状態になるまで遊んでから食べるとも聞くが、その時はそんなことはせず、すぐにかぶりついて食べていた。
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