八限目

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八限目

「ふぅ、次!出席番号十八番、光田」 『光田君』はボソッと 「はい……」 と一応返事をした。 「光田、お前、高一の時から高二の終わりまで、上級生にカツアゲされてたろ」 皆、上級生に目をつけられてたのは薄々気付いていたが、カツアゲまでされてたとは知らなかった。『光田君』は思い出したくない二年間を思い出したらしく、唇を血が出るまで噛んでいた。すると『吹咲さん』の時と同様、席まで近づいた。生徒達は固唾を飲んで見守った。そして教師寺田が意外な行動を見せた。内ポケットから封筒を取り出して『光田君』の席に置いた。 「先生これは……」 「開けてみろ」 彼は急いで封筒を開けるとそこには今までカツアゲされたお金「二十万円」が入っていた。 「先生……」 その言葉を遮るように教師寺田は 「何も言うな。お前のお金『三十万円』が還ってきただけだ。それだけだ!」 「先生……」 泣き出す『光田君』を横目に、拍手が起きた……大抵の生徒は首を捻りながらまばらな拍手で。
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