『わたしの恋に引導を。』

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『わたしの恋に引導を。』

 今日は高校の卒業式。 「あゆ()先輩! ご卒業おめでとうございます!」  ホームルームのあと、中庭でクラスメイトの輪の端にいたわたし、屋敷(やしき) あゆ美に親しい後輩が駆け寄って声を掛けて来た。  委員会で一緒になって以来、何かと懐いて来てくれていた二年生なの。小柄で、緩いウェーヴの掛かった長い髪を二つに結ってる可愛らしい女の子。  一緒に居るお友達二人も、口々にお祝いしてくれる。 「倉掛(くらかけ)さんたち、クラス代表だった?」  卒業生以外は、生徒会役員と下級生の各クラスの代表だけが式には参列してた筈なんだけど。  わたしの素朴な疑問を、倉掛 乃梨子(のりこ)さんは勢い良く首を振って否定する。 「いいえ! ……だから式には出られなかったんですけど、せめて先輩に直接ご挨拶したかったんです」 「……わざわざ来たってこと?」  ただ、わたしに会うためだけに学校に? 「はい! あの、先輩。ボタン、──ジャケットのボタンをいただけませんか?」  真っ赤な顔で見上げながら言い募る後輩。
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