『わたしの恋に引導を。』

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『卒業したら、康之先生に告白するの』  親友の怜那ちゃんにそう宣言したのは、もう一年以上前になるわ。  わたしと同じく先生を好きになった怜那ちゃん。  二年生の時に隣のクラスだった彼女と仲良くなったきっかけも、わたしが怜那ちゃんとそのクラス担任だった(おき)先生の間の、なんとなく特別な空気、に気づいたからだった。  そういえば彼女はさっきの野上くんの幼馴染みで、その関係もあって彼とも結構親しくなったのよね。もともと野上くんとは一年生の時に同じクラスだったけど、それまではただのクラスメイトでしかなかったから。  わたしたちが入学するのと同時に新任でいらした、まだ二十五歳の沖先生。康之先生はもっとずっと年上なの。確か三十四歳だった筈。  でも年なんかより決定的な違いは、彼女と沖先生は互いに想い合っていること。  ただ、片想いのわたしと両想いなのに二人きりにもなれない怜那ちゃんたちと、どっちが苦しいのかな、って考えたことはあるわ。  こんなの変かしら。両想いがいいに決まってる、のに。  だけど好きなのにきちんと卒業まで待つ、って毅然としてた沖先生は、凄く格好いい大人だと思う。怜那ちゃんの気持ちは、もしかしたら別かもしれないけど。  ねぇ怜那ちゃん。わたし、変わるから。──これは、その第一歩なの。
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