エロスと快楽、美しい死

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初めてアレを口にしたとき、わたしの両手は背中で縛られていた。 頭を鷲掴みされ、激しい動きに妖しく舌を絡ませる。 そのとき、わたしはただの玩具に成り果てたの。 初めて愛のエキスが、口内に溢れ出すのを感じた時、気分が高揚したのは何故? 唇の端から溢れる白い雫が、わたしの乳房の谷間を滴り落ちる感触に、わたしのカラダはいつも敏感だった。 初めて膜を引き裂き、熱いものを感じたとき、頭の中に弾けた火花は 大人になった悦びか?  少女を捨てた哀しみなのか? どっちだったんだろう。 それを何も感じなくなったとき、わたしは早朝のビル街に掃き捨てられて、道路に散乱するゴミと同一化してしまう。 裸のまま、廃墟の街をふらふら歩き、昨夜の余韻を愉しむ。 ここまで堕ちたら、死ぬのも怖くない。 誰でもいいから、わたしを攫って行って。 水中に沈められても、どこかの森に 埋められても構わない。 それを美しいと思えるわたしは、最早狂っているかも知れないが、どうせ死ぬなら、美しくありたい 美しく死んで行くのが、わたしの心を満たす、たったひとつの官能だから。
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