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お店に戻りクレープとコーヒー二つを頼んで向かいにあったベンチで腰掛けてた。
拓海が持って行くからと、座って待ってると…
「雪さん?」
聞き覚えのある声に、顔を上げると…
「みっちゃん?」
「あっ、やっぱり。なんで…」
「雪?」
反対側から拓海の声が。
声の方にみっちゃんが顔を向けると、敵意剥き出しの顔に。
「…雪さん。これって」
「あっ、いや、えっと…」
「今、デート中だから邪魔すんなよ」
「た、拓海」
立ち上がって拓海の方を向けば、
「その格好…」
「えっ?」
今度はみっちゃんの方に身体を向ければ、下から上に目線がなぞる。
「あれーみっちゃんじゃん」
みっちゃんの後ろから美姫が声をかけ、みっちゃんも振り向く。
「えっ、先輩?」
「あー。君が噂のみっちゃん」
竜が近づき、手を出す。
「この前は美姫が失態を…すみません。
薮木竜です。よろしくね」
「あっ、いえ。大丈夫です。
水瀬楓です。よろしくお願いします」
「金曜日はごめんなさい。
忘れて頂けると嬉しいです」
深々と頭を下げる美姫に、みっちゃんは笑い出す。
「忘れられませんよ(笑)あんなにドキッとさせられたのに(笑)」
竜の眉間にシワがより、美姫が顔をひきつらせる。
「嘘です(笑)俺は雪さん以外靡きません」
今度は拓海が顔を歪め、私の顔が赤くなる。
「本当に雪が好きなんだな(笑)」
「はい。あの、皆さんで…」
「今、ダブルデート中」
「そう、なんですね…
少しだけ時間下さい」
みっちゃんが振り向き、私に近づき腕を取る。
「えっ!」
「少し着いてきて」
無理矢理引っ張られ、拓海の横を通り抜けて行く。
私の腕を取ろうとしたみたいだけど、コーヒーを持ってたから出来なくて…
そのまま連れていかれた。
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