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「もう、ヤダ。こんなの着れない。
あのワンピでいいじゃん」
「ダメ。綺麗にしてデートすんの」
「あんたは私をオモチャだと思ってるんでしょ」
「当たり前でしょ。ん。やっぱり似合ってる」
「もうマジで勘弁して。こんなんじゃ歩けない」
鏡の前に立たされ、見ると…
ロング黒のタイトスカートに、フロントサイドにガッツリスリットが入ってる。
上はリブの入ったこれも、身体のラインが見える細身のニット。
「エロい」
「嬉しくない。着替える」
「ダメにきまってるでしょ。
はい、座って。化粧と髪の毛します」
鏡の前にドンと座らされ、鏡越しにイタズラ笑う美姫の顔。
一気に顔がひきつる。
もう疲れた。抵抗…止めよう。
大人しくなった私にどんどん化粧と髪をセットしていく。
昔からダブルデートの時、私がスカートが苦手だからといって可愛さが足りないとかで、よくこうされてた。
まさか、大人になってもされるとは…
「ん。完璧」
セミロングの髪は綺麗に巻かれ、一つにまとめてサイドに流す。
もう、自分じゃないみたい…。
美姫の腕は確かに凄いと思うけど、もう疲れた。
「はい。行くよ」
腕を捕まれ、無理矢理引っ張って立たされ、拓海達が待つリビングへ。
ドアが開けば二人が一斉にこっちを見る。
私の背中に回った美姫が、背中を押して
「どう?エロいでしょ?」と。
美姫はわざとスリットの入った方の足を後ろから足で押して見せつける。
男、二人とも下から上に視線をあげてく。
「雪…エロ」
少し顔を紅くした竜がボソッと言う。
美姫が急かすように「拓海は?」
一瞬目があったのに反らされ、口許を押さえて「似合ってる」って。
美姫は満足そうに笑い、
「じゃあ行こう!」
その合図で皆動き出した。
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