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-拓海side-
あいつが俺の横をすり抜け雪を連れてった。
コーヒー捨ててでも引き留めれば良かった。
「おい。追いかけないのか?」
竜が近寄ってきて俺の肩を叩く。
「行きたいけど…もし…雪に何かしてるところを見たら殴りそう」
「そこは…堪えろ」
そう、今はあいつの気持ちも分かってる…
俺の気持ちも雪は知ってる。
ただ付き合ってる訳じゃない。
それを受け入れるか、受け入れないかは雪にかかってる。
俺は今、でしゃばるわけには行かない。
それでも、気になって仕方ない。
「悪い。これやる」
竜にコーヒーとクレープを渡し、あとを追いかけた。
何処だ。居なくなるところを見てないから、それらしいところを覗いてく。
少し離れたところに…いた。
その光景に手を力強く握る。
落ち着け…
二人が見える反対側の柵にもたれ掛かれ、腕を組み落ち着かせる。
雪の足の間にあいつの足が…
雪が必死に足のところを押さえてる…
顔が雪に近づいたとき、あいつ…俺を見た。
顎に手を当てられ、何か言ってる…
指が唇に置かれ、その指をあいつのクチに…
組んだ腕に力が入って…落ち着いてられない。
終ったのか、手を引いて俺の前に。
「止めに入られるかと思いました」
出来るなら止めたかったけど、出来ないだろ。
あいつが俺らの前から居なくなって、雪を見れば少し震えてる。
大丈夫って言ってるけど…どうしたらいいか…
手を握って、取り敢えず美姫達の所へ。
クレープのお店の前に二人で待ってくれてた。
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