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朝永京香様
おじいちゃん2
https://estar.jp/novels/25936073
今回の募集要項は『コメディ要素を含む小説』ではなく『コメディ小説』だという前提で、の話なんですが。
そうした場合、読者・視聴者の皆様は「さぁ笑おう」と重大なる決意をして臨まれるのではありますまいか。
その場合、重要になるのが『如何に仕掛けを早くするか』だと思うんです。
少しでも早い段階でギャグなりコントなり、或いは『これは面白いぞ』と読者に期待させる仕掛けを仕込まないと、「面白くないや」と途中退場されてしまうんですね。現代人は短気ですから「これ、いつになったらオモロなんねん」と思われたら、そこでアウト(_ _;)
実は、本作最大のポイントがそこにありまして。
その一行目から『ドーン!』とギャグを入れているのです。世界観の説明とか人物紹介とかそういうアレコレをぶっ飛ばして、いきなり。しかも、これがウマいんです。
このファーストギャグでしっかりと読者のハートを掴んでいくんですね。これがあるからこそ、「この次は何が来るだろう」という期待感が高まるのでして。
そしてそこから「老齢あるある」を畳み掛けて笑いを引き出す術は見事のひとことです。さらにそれらが単なる小ネタであるかに見せかけてしっかり伏線として回収されるという見事さ。
いや、私もね、あるんですよ。80過ぎのじーちゃんが珍しく寝坊して起きて来なかったことが。「じーちゃんは?」「いや、まだ」「……起こしにいけよ」「……ヤだよ」「オレだってヤだよ!」という非常に不謹慎な遣り取りがありました(笑 暗い部屋でじっとしていられると、声をかけるのが怖いの何のって(^^;)
ほのぼの系でありながらしっかりとダークテイストなギャグを織り込んだ、コメディの逸品であります。
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