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mimori様
パパときどきママ
https://estar.jp/novels/24635016
人間には得意不得意ってぇ物がございまして。
私の場合、SFやコメディ、ヒューマンドラマは特に何の苦労もしない分野、ちーとだけ(しかない)頭を遣うのがミステリージャンルで、『童話』という分野は全くの門外漢であります。
本作を読んで「なるほどなぁ」と感心したのは、この作品における『童話的空気感』なんですよ。
これは童話しか書かない作者が童話を書いているのではなく、意識的に童話的空気を醸成して書いておられるのでして。
1つ1つのセリフや字の文が短く切られ、かつ平易な文章になっている。特に小さな子どもの『ちい』のセリフが、如何にも子どもらしいんですね。これが、意外と難しくて。
とある編集者の方が「キャラの年齢を考えろ」と苦言を呈しているのを見かけたことがあります。中学生設定のキャラが古式ゆかしい台詞回しをしたり、考え方が古かったり難しい言葉を遣うのは不自然であると。
ですがコレは簡単ではなく、私も「妖怪中学」という作品で選評を貰った折に「キャラの言動が中学生というより小学生の発想だ」と手厳しく(^^;)
なので、こうしてチャンと「子どものセリフ」になっていて、かつ、童話として、そしてほのぼのコメディとして成立させている技は素晴らしいと思います。
何しろ「パパときどきママ」という如何にも「子どもの発想にありがち」なアイデアが秀逸です。
そして、ラストに少々ブラックなオチが(笑
ピリリと効いた胡椒のようにいい味が出ている逸品です。
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