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「今日の同窓会、何時からだっけ?」 朝、出勤前の夫、高畑清太(たかはたせいた)にそう声を掛けられ、 洗い物をしていた手が止まる。 「一応、18時スタートだって。 今日は金曜日で休日じゃないから、 仕事が終わってから来る人も多いから。 みんな集まるのは、けっこう遅いかもね」 今日の夜、高校三年の時のクラスの同窓会がある。 卒業してから7年。 それは初めて行われる。 「志田達によろしく言ってて」 夫も、同じ高校の同級生なのだけど、 三年の時は私とはクラスが違い。 今日はクラスでの同窓会なので、 この人は呼ばれていない。 「言っとく。 清太のクラスの1組の同窓会は年明けだっけ?」 「そうそう。 1月20日」 「じゃあ、私は佳歩によろしく言っといて」 1組で私が仲良しだった女の子の名をあげる。 その佳歩とは、2年の時同じクラスで、けっこう仲良くしていた。 「うちのクラスはまだまだ先だから、その時言って。 でも、花純(かすみ)も来る?」 「いや。流石に他のクラスの同窓会はいけないよ」 そう言うと、夫の清太は、そうだよな、と笑っている。 私は、清太に自分のクラスの同窓会に来る?とは、冗談でも言えなかった。 それは、今日の同窓会で、あの人に会えるかもしれないから。
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