卒業黒板に咲いた花

揉め事

　卒業式の日。先生が出て行ったタイミングを見計らって、みんなで黒板アートを一気に作成！
　黒板に大きい花束と、3年1組ありがとう！のメッセージを。
　あらかじめみんなに練習しておいてもらっていたのでスルスル完成していく。みんな練習していただけあって、綺麗でカッコいい！

　その中で不恰好な花があった。
　クオリティが高い花束の中にひとつだけ混ざる不恰好なお花。
　すると萌衣ちゃんが、
「この花描いたの誰？変に目立つんだけど。誰が描いたの？」
　クラスに沈黙が漂う。
　もともと、完璧主義だったので気にするかなぁって思ったけど…
　すると、クラスの陽グループの春希くんが、
「俺、みてたよ。その変な花、剛(たける)が描いてたやつ。」
　みんなの視線が剛こと、勝田剛(かつたたける)に向いた。
　剛君は全体的に普通？な印象。友達もいるし。
　けど、剛君はずっと俯いている。
　その事に有利性を感じたのか、春希君は調子に乗ってどんどん剛君に文句を言っていく。

「お前のせいで黒板アートが失敗作になるんだよ」「なんで練習してこなかったんだよ」
　次第に口調が険しくなっていく。
「お前がいるからダメなんだよ！」

「ドンッッ」
　突き飛ばしたような音が聞こえると瞬く間に春希君が黒板に向けて吹っ飛んだ。
　剛君は空手をやってて強かったんだ。
　黒板に叩きつけられた衝撃で春希君はHP0。混乱状態。
　黒板アートもところどころ掠れてしまったりしてしまっているし…
　春希君と一緒にいるような子達は「キャー」とワイワイガヤガヤ。
　わちゃわちゃやっていると、女子達が先生を呼んできてしまった。
　これでびっくりさせようとする計画はお陀仏か。