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フィリア王は立ち上がった。
「そう……こんな虚しい悲劇は終わらせないといけない。
そうだろう、ビーン大臣」
フィリア王は自分の正面に立つ男に同意を求めた。
「何を終わらせるとおっしゃるのでしょうか、陛下」
大臣、ウィニン・ビーンは落ち着きはらった声で尋ねた。
フィリア王はためらいがちに言う。
「リア充爆発法を……廃止する」
フィリア王は、ビーンの目を見ないようにしていた。
「陛下……」
ビーンはフィリア王の顔を覗きこんだ。
「リア充爆発法を廃止するなど、ありえませんな」
スパノヴァルディア王国には様々な悪法が日々制定されている。
その中でも、リア充爆発法は国民に最も支持される悪法の一つだった。
「ふっ」
フィリア王は何かを笑った。
そして、ビーンの横を急ぎ足で通り過ぎていく。
「お待ちください」
ビーンはフィリア王を呼び止める。
「何をされるおつもりで?」
フィリア王は立ち止まる。
「リア充爆発法の廃止」
フィリア王はもうビーンに振り返りそうもなかった。
しかし、ビーンはいたって平静を装っていた。
「王はどんな悪法をも制定可能です。
しかし、廃止については国民の半数以上の同意が必要ですよ」
「そんなことは知っている」
フィリア王は再び歩き出した。
「そこまでお分かりでしたら、何も申し上げることはございません」
ビーン大臣は、フィリア王の後に続いた。
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