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そして、ついに今まで行われたことのなかった悪法廃止の宣言が行われようとしていた。
フィリア王は、公開処刑場を見下ろした。
「みな、今宵はよくぞ集まってくれた」
ちょうどぴったり、2万人の国民が歓声を上げる。
「大切なお知らせがある。落ち着いて聞いてほしい」
大切なお知らせと聞いて、何かを察したのか、民衆がざわついた。
――王様やめないでー!
――フィリア王じゃないとあかん!
――俺だー! 結婚してくれぇ!
フィリア王は右手で制止した。
「はやらないでほしい。私はやめない」
――誰やさっき結婚言うたやつ! 俺が先だ!
――そうわよ!
――ぼくのだぞッ!
(ああ、これだよ。これこそがスパノヴァルディア王国民だ)
フィリア王はスパノヴァルディア王国の国民性を愛していた。民度も高かった。
それゆえに、恋愛にかまける衆愚を許せなかった。
「みなに集まってもらったのは他でもない。国民投票を行うからだ」
国民投票と聞いて、王国民は大いに盛り上がった。
リアルの投票には行かない者も、こういうものに対する投票率は高い。
手間がかからずできるからだとフィリア王は思っている。
――なんの投票?
――俺が大学に合格するか否かについて
――不合格に一票
――勉強しろ
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