ED 花火大会

7/10
前へ
/10ページ
次へ
 サクラが歓声を上げると、他もなんとなくその気になる。 その気になって、同じように歓声を上げる。  人心とは川の流れである。  しかし、大きな岩が川の中心に置かれれば、川は一瞬二つに分かれる。  別れてもすぐに一つになるが、その川はもう、さっきとは別の川かもしれない。  そして、川に一石が投じられる。 「異議ありいいぃぃぃッ!!」  突然の咆哮が、スパノヴァルディアに2度目の静寂をもたらした。  フィリア王は大きく目を見開いた。  なぜか。  その咆哮はフィリア王の背に向けられたからである。  背後の影から、その刺客は現れた。  ウィニン・ビーンの目は、まさしく獣のそれだった。  その目を振り返って確認した時、フィリア王はその気迫をもろに受ける。  廃止など、絶対にさせはしませんよ……そうとでも言いたげな目だった。 「……衆愚め」  フィリア王は最後の敵を見据える。 「公開討論をしましょう。受けてくださいますね」  先ほどとは打って変わり、ビーンは落ち着いた大臣になった。  フィリア王はその申し出を受ける必要はなかった。  王にとって、「暴君特権」で大臣の処刑を行うことなど容易かった。  しかし、それが本当に面白いのか。  王として、配信者として、どの選択がエンターテイメント足りえるのか。  すぐに結論は出た。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加