形は違えど

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形は違えど

 時刻4時44分。  パタパタパタ、と観覧車乗り場に向かってくる足音が聞こえる。 『はやくはやく! 4時44分過ぎちゃうよ!』 『過ぎちゃうって、それマーちゃんの作り話じゃん』 『まあまあナナちゃん。でもミサってば本気で怖がってさ。まさかドタキャンするほど嫌だとは思わなかった』  三人の小学生くらいの少女たちが話しながらやってくる。  咲歩は静かに観覧車のドアを開けた。 『あーあ、ミサがいなきゃつまんない』  一人の少女が言うともう二人の少女も頷いた。 『そうだね。やっぱ四人でいるときが最高に楽しいよね』 『中学ミサだけ違うのほんと寂しい』 『今度は絶対に四人で行こうよ。そのときはミサも一緒 !』  パタパタパタ。  三人は観覧車の中に吸い込まれていく。  咲歩はドアを優しく閉めた。  上へ上へとゴンドラが上っていく。  咲歩はそれを静かに見つめる。夕日の橙色の光が眩しい。  あの三人は未だにあの日欠けた一人の友達を待っている。  その願いが叶う時は永遠に訪れない。  もう四人があの時の姿で集まることはない。  それでも克己咲歩(かつみさきほ)・通称ミサは観覧車乗り場で三人の友達が訪れるのを待っている。  今日もこれからもずっとこのフェアリーランドで。 「ありがとう。私の友達」  ゴンドラは高く高く上っていった。
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