ある小学校での話

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 その日の晩だった。  目を腫らしながら夕食を食べているとニュースの中継が入った。  フェアリーランド方面のバスが逆走した大型トラックと正面衝突しその場に乗っていた二十人が死傷したと。  その内三名の女子が搬送された病院で死亡が確認された。  桜が舞っている。  気づけば一人で卒業証書を受け取っていた。  三人は卒業式を迎えることはなかったというのに。 「……もしも」  もし私が駄々をこねず約束の時刻にバス停に集合していれば。 一本バスを遅らせたから運悪く逆走するトラックと鉢合わせするはめになった。とりあえず約束の時間に集合して、乗る乗らないのケンカなど現地ですればよかったんだ。  後でマーちゃんのお母さんから聞いた話だけど、マーちゃんは私だけが別の中学に進学することを気にかけていたらしい。  マーちゃん、ナナちゃん、カオリちゃんは三人とも同じ中学だけど私だけ地域の関係で違う進路先になってしまった。 「あたしら三人はどうせ中学も同じだし。ミサだけ違っちゃうからさ」  マーちゃんは私と遊べる思い出がどうしても作りたかったんだって。  観覧車の幽霊の噂も実は遊園地に誘う口実(・・)でマーちゃんの作り話だった。 「ミサは何か理由がないと動かない子だから」  マーちゃんなりにいろいろ考えていてくれてたんだ。  それは全部裏目に出ちゃったけど。  何を言ったってもう手遅れ。  後悔しても懺悔しても三人が帰ってくることはない。  桜舞う卒業式で、私は帰らない友達を思い涙をこぼした。
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