妄想彼氏

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 終電がなくなりそうな時間に電話をかけてきて、少し酔った口調で彼が言う。 「ねえ、会いに行ってもいい?」  甘えた口調でそんなことを言う彼は、イケメンでなくてはならない。  慌てて玄関のドアを開けた時、ふざけたように抱きついてくる体は、すっぽり私が収まってしまうくらいの大きさでなくてはならない。 「ねえ、酔っ払ってる?」  わかりきったやりとりになるとわかっていても、「酔ってない」と答えておでこをくっつけてぐりぐるするぐらいの、お茶目さがなくてはならない。 
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