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三毛猫の後を追って着いたのは、神社だった。
人の気配はなく周りは木で覆われ、猫の隠れ家には最適なのかもしれない。
「初めて来たな…」
三毛猫は狛犬の像の上に飛び乗るとそのまま丸くなってしまった。どうやらこれ以上の移動はないようだが、周りを見渡してもその三毛猫以外に猫の姿はない。
「ニャー」
どうしようか佇んでいると、三毛猫が一鳴きした。木々が風に靡き、ザワザワと音を立てる。
不思議な感覚に包まれているような、日和は幣殿を見つめていると後ろからするりと何かに包まれた。
後ろを振り返るとそこには人間の姿のライチだった。
「…ライチ…」
「なんで、来ちゃったの…?」
「心配したんだよ!」
彼の腕から抜けると日和はギュッとライチに抱きついた。抱きしめ返されることはなく、そっと日和を離すライチ。
「これでいいんだ…。オレは戻らない…」
「なっ、なんで!?」
「子供きらい…」
「無茶苦茶な扱いしないように注意するから!」
「旦那に媚び売るの苦手なんだ…」
「ほっとけばいいから!!」
「日和を好きになっちゃった…」
「私は、ライチが…えっ??」
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