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あれから一か月、探しに探しまくったが、結局、見つけることは出来なかった。
公園のベンチに座り、ボーッと遊具を眺めていると遠くで一匹の猫がこちらへやってきた。
その猫は、三毛猫で日和の足元に座ると、
ジッと見つめてきた。
「きみ、ライチって知ってる?」
ネットで見たことがある。迷い猫を野良猫に訪ねるとその猫が案内してくれたとか、連れて来てくれたとか。諸説ではあるが賭けてみた。
「ニー」
「そっか、分かんないよね…」
三毛猫は耳をピクピクと動かすとゆったりと歩き始めた。時折、こちらを振り向く姿にもしかして、来いと言っている気がする。
日和はベンチから立ち上がるとフラフラとその猫の後を追った。人通りの少ない裏道を通り、時に塀に登られた時はどうしようかと思ったが、ちゃんと人が歩けるように誘導してくれた。
「きみ、賢いね?」
私の言葉に尻尾を一瞬、ピンと立てるとすぐにゆらゆらと揺らした。
「こんな道、あったんだ…」
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