0人が本棚に入れています
本棚に追加
「ここにいたんだね、にゃんにゃー。さあ、一緒に天国へ行きましょう……」
庭に埋められていた猫の死体を見つけて、幼女は成仏。
私は動けぬまま、その一部始終を見届ける形になった。
神様は不公平だ。
あの幼女には移動の自由も特殊な力もあったのに、どうして私には何もないのだろう。
地縛霊として、この土地に括り付けられてしまった。ほんの少し動く程度すら不可能だし、生者に干渉する力も与えられていない。
だから……。
「にゃー」
空き家となったこの場所に、今日も野良猫が入り込む。
しかし私は「しっ、しっ」と追いやることすら出来ず、のんびりした猫たちの姿を、ただ眺めるしかないのだった。
(「幼女が探す迷い猫」完)
最初のコメントを投稿しよう!