6人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
「卒業、おめでとうございます」
「わ。ありがとう」
言葉だけかと思ったら、まさかの大きな花束。少なくとも初春の太陽には負けないくらいに鮮やかだ。
「なーにこれ。サプライズ?」
「そういうこと、ですかね」
「……うれしい」
「もちろん、みんなからですけど」
「……まだまだね」
「何が……。あー、そっか。そうですね。なるほど。……やり直してもいいですか?」
「別にいいけど、いいわ。今の感じで思ってることはわかったから」
少しばかり照れた様子の後輩くんの頬に、こちらも顔が熱くなってくる。
3月。まだ雪も残っているのに。暑く感じる。
「そういえば……」
「ん?」
「泣いてないんスね」
「……あら、なぁに? 血も涙もない女、って言いたいのかしら?」
最初のコメントを投稿しよう!