#3 猫が導く恋

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#3 猫が導く恋

幸い、母に仔猫たちは受け入れてもらえた。まるで我が子を見つけたように迎い入れ、置き去りにされていた事に憤慨しながら、病院へ連れて行った。 やはり二匹とも衰弱が酷くて、そのまま入院だった、亡くなってしまっていた子は病院で引き取ってくれた。 私達はそのままホームセンターに行って、新入りさんのためのあれこれ購入して──翌日。 小山廉一は既に教室にいた。 いつも私より早いか遅いかはまちまちだ。でも、今日は初めて目が合った、教室に入った私に気付いてこちらを見たのは、初めて、だった。 でも、ふいっと視線を外してしまう。それがいつもとは違う様子で……いつもは見んじゃねーよって感じなのに、今日は違った。 どこか、戸惑うように、泳いでいる感じ? でも昨日の件がある、話をしなくては、と私は近づきながら、覚悟を決める。 あと5歩、と言うところで息を吸った、はっきり声が届く様に腹に力を込める。 あと3歩、と言うところでなんて声を掛けるか考える。「おはよう」かな、それとも、前置き無しで「猫だけど」の方が小山にはいいかな。 あと2歩、と言うところで──小山はくるりと私を見た。 ひぃ、と声が漏れそうになる。だって、こいつ、怖いしいつも溜息吐いてるし、近づくなオーラ出てるし! でも、はたと思う。 小山は私と目を合わせようとはしない、それどころかいつもの怖い目つきではなく恥ずかしそうな色を浮かべていて、僅かに頬も赤く見えた──誰だ、こいつ、ってくらい可愛く見える。 「──猫、悪かったな」 低く響く声、これが小山の声かあ。
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