第3章 わたしたちの共通点

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佐藤さんは「初めてのBL作品が私の?」と、照れくさそうに笑った。 「野々村さんって美術部だよね?」 漫画を読んでいると、ふいに佐藤さんが聞いてきた。 わたしの部活動が何なのか、知っている人なんていないと思っていたから。 たったそれだけのことが、うれしかった。 「うん、そうだけど……」 「あのね。私の漫画、手伝ってくれないかな?」 「え?わたしが?」 「うん。実は新人賞に応募しようと思ってるんだけど、一人だと時間がかかって去年間に合わなかったんだ。もしよかったら、手伝ってくれると助かるんだけど」 「わたしでよければ……でも、わたし、漫画描けないよ」 漫画を描いたことはなかったけれど、頼まれたことがうれしくて即答していた。 「大丈夫。べた塗り……黒で塗りつぶすんだけど、その作業をしてもらいたいなって」 「黒で塗りつぶすだけなら……」
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