<それぞれの春>

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〜田沼英子〜 子供の頃から家の中に私の居場所はなかった、両親は不仲で私のことは単なるお荷物的にしか思われていない。 周りの女の子はおしゃれに気を使っていて可愛い小物を持っていたり、髪の毛も可愛くカットしていたりしたが、私はその為のお金をもらうことができないでいでいた。 それに加えて地味な顔はクラスでも格好の標的になり、暗いだの幽霊だのと言われていたが諏訪昌希くんは私を揶揄することはなかった。 昌希くんのようなかっこいい男子が選ぶのはキラキラ系の可愛い女の子だと諦めて、密かに思いを寄せていたがある時、私とたいして変わらないパッとしない女と付き合い始め、失恋したことよりもアレが彼女になれたなら私にだってチャンスがあったのに行動を起こさなかったことを悔しいと思った。 昌希くんは成績が良かったから進学校へ行ってしまったからそれきりになった。 高校に進学してからは両親の仲は益々悪くなり、父はほとんど家には帰ってこなくなり、母も外泊が増えていったが、高校に入ってアルバイトを始めると親が家にいないことに不便を感じなくなった。 アルバイト先の店長にセクハラまがいの言葉を色々と言われても学校で言われる言葉よりも優しい物だった。 ある時、店長に処女かどうかを聞かれ正直に答えると不細工な君でも5万円で買うという人がいるけどどう?と、言われ即答した。 実際、行為は酷いものだったけど帰りにすぐお金をもらえたことは嬉しかった。 その5万円で二重手術をした。 もともと、目元は髪の毛で隠れていたから二重にして前髪を切ったところで誰にも何も言われなかった。 今まで嫌いだった目が二重でぱっちりとなったことで少しだけ自分に自信が持てた。 それからは店長から一回五千円で何人かの男性を紹介されて関係を持ってお金が貯まると今度は鼻を少し高くした。 プレイの激しすぎるおじさんに文句を言うと、お前みたいなブスに1万5千円払っているんだからと言われて店長に1万円も抜かれていたことに気づき、バイトを辞めて一人でパパ活を始めた。 高校卒業後にもっときちんとした整形をする為にお金を貯めながら脱毛などの周りにバレにくい場所を整えていき、卒業後すぐに顎や小鼻、涙袋の手術をすると見違えるような美人になった。
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