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なんだろう?
また、しんどい話だったら嫌だな。
「何?」
『お父さんと朱夏が折り合いが悪くて』
二人してニートで家にいるし、朱夏からすると父さんなんて血の繋がりはあるけど、どっかのオジさんという感覚しかないのかもしれない。
「何となく察しがつく」
『それで、朱夏が細矢さんのマンションに行くって言って荷物を持って出て行ったのよ』
やっぱり悠也と結婚するんだ。
まぁ、悠也がそれでいいなら、いいんだけどね。
「それで?」
『部屋を探そうと思って』
「え?」
あのクソジジイと一緒に暮らす為の?
『ここじゃ広いから』
三人で住んでいたときは狭く感じたけど、二人だと広いのかしら?
何も答えない私をよそに
『1DKかどうせ一人だしワンルームにしようかと思って』
「え?ワンルーム?」
どゆこと??
『なるべくお父さんに悟られないように引っ越しする方法を考えたいんだけど、いいアイデアはあるかしら?』
「父さんとやり直すんじゃないの?」
『彩春、ごめんね。本当にバカだった、10年前にちゃんと現実を見なくちゃいけなかったのに。私は母親ではなく女だった、だからあんなふうに裏切られても思いを捨て切れずに彩春に辛い思いばかりさせてしまって。あの画像を見てすっかり目が覚めたわ。今更、謝っても遅いのはわかっているけど、本当にごめんね』
「そっか、母さんってちゃんとすれば綺麗なんだから。あんなクソオヤジなんか綺麗さっぱり切り捨てて、これからは自分のためだけに生きてよ」
『ちゃんとすればって』
「父さんが出て行ったあたりから、どんどん汚くなっていったでしょ、娘としてはアレは結構嫌だった」
『本当にごめんね』
「部屋に関しては、昌希さんの伯父さまにお願いしようか?」
『お願い出来る?』
「いくつか物件を探して母さんのスマホに送るね。その中でいいのがあれば実際見にいけばいいと思うから」
『ありがとう』
「ところで田沼英子はどうなったの?」
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