<春が来る>

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おばあさまの所に行った帰りに仮押さえをしている結婚式場へ行き申し込みを入れた。 海の見える小さなチャペルを有していて総ガラス張りのフロアは日が燦々と降り注いでいる。 「凄く素敵」 「そうだね」 こんな風に話が進んでいくと現実味を帯びてくる。結婚指輪は婚約指輪と同じブランドにすることにして来週にも二人で見にいく予定だ。 帰りにいつものように横浜の伯父様のところに寄ると母さんに頼まれていた物件の図面をいくつかピックアップしてもらった。 母さんの引っ越しの事を昌希さんに伝えると、二階の物置と化した部屋に荷物を置いてもいいと言ってくれたので、朱夏の荷物と母さんの荷物も少しづつ私の荷物として運び出した。なにせ、父さんは無職だからほとんど家に居てこっそり母さんの荷物を持ち出すのは骨が折れるようだ。 私と朱夏が使っていたベッドやクローゼットを処分するついでに父さんには断捨離だと言って自分のベッドも捨てて畳の上に布団を敷いて寝るようにして、徐々に物を片付けているが、朱夏が出て行った事もあって、父さんは物が無くなっていくことに疑問を感じてないらしい。 でも、それって母さんが父さんを捨てることなんて無いという気持ちがあるのではないかと思うと少しイラッとする。 1月の末になると庭にじゃがいもの種芋を植えた。植えたばかりだけど収穫が楽しみだ。 そして、久しぶりに朱夏から電話が来た。
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