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『お姉ちゃん、どうしよう』
どうしようって何が?あー聞きたくない。
『卒業式で着る袴と着物を借りるお金が無いの、お姉ちゃんどうしよう』
「どうもしない、お金が無いのならわざわざ袴にしなくてもいいんじゃない?」
『酷い!みんな袴なんだよ。お姉ちゃんだって袴だったじゃん』
「私は自分が稼いだお金でレンタルと着付けを頼んだわ、朱夏はどうして自分で準備しなかったの?それに、朱夏に私の結婚を壊された時に一切の援助をやめるって言ったでしょ」
『だったらお金を貸してよ』
「嫌よ、あんたには慰謝料の100万円を払う義務があるんだから借金をしているのも同然の人間にお金を貸すわけないでしょ。母さんにでも相談したら?」
これ以上話を聞く気になれなくて通話を切った。
母さんに言ってないのかな?
疑問に思ったのと、結婚式について伝えようと思っていたのに、まさかの引っ越し話で言い忘れた事もあり電話をした。
『彩春、どうしたの?』
「朱夏から電話があったけど」
『何かあった?』
「袴のレンタル料が無いから貸して欲しいって」
『どう言う事?』
「こっちが知りたい」
『レンタルと着付け代として、これで収まるようにしてって5万円を渡してるけど』
「なっ、母さんから受け取ってるのに私からもお金を取ろうとしてたってこと」
『本当に、育て方を間違えてしまった。彩春ごめんね、朱夏のことはもういいからね』
はぁ。
朱夏の話はなにもかもため息がでる。
「朱夏のことは無視する。それよりも3月25日に熱海の結婚式場で結婚することになったことを報告をしようと思ってたのよ。母さんに出席してほしくて」
『もちろん行くわ』
「披露宴とかはせずに、昌希さんの家族と母さんだけで食事会をしようと思ってる。朱夏には悪いけど昌希さんの家族に迷惑をかけてしまったらいけないから呼ぶつもりは無いんだ、だから結婚式の事も内緒にして欲しい」
『わかった。あの子、彩春が婚約指輪をもらった事をずっとグダグダ言っていたから、細矢さんが結婚してくれるだけでも本当は申し訳ない事なのに』
やっぱり、朱夏を昌希さんの家族に合わせるは嫌だ。
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