彼がデキ婚するので家出をしたらイケメン上司に拾われました。

＜春が来る＞

2月に入ると目まぐるしい日々が続いた。
母さんの部屋は市ハウジングからも比較的近い1Kに決まり契約も済ませ、少しづつ荷物を運んでいる。

昌希さんの退職も課内に知らされるとショックを受ける女子社員の悲鳴が聞こえてそうだが、実際聞こえてきたのは「相馬さんが辞めればいいのに」という言葉で改めて退職を決意してよかったと思った。

あれから朱夏からは連絡が無いが、単に試験で忙しいだけかもしれない。いや、連絡がないことはいいことなんだけど。

指輪も決まり、おばあさまに会いに行ってからドレスの試着をした。何を着ても「素敵だよ」しか言わない昌希さんからのアドバイスは諦めて希未さんにオンラインで見てもらってAラインのバックがちょっと金魚のようなデザインのドレスに決めた。