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「母さん、新居は住みごごちはどう?」
『一人だとこれくらいが丁度いいわ、駅も近いし12時までやってるスーパーもあるし便利よ。昌希さんにお礼を言っておいてね』
オヤジ断捨離計画の時、昌希さんは大体の時間を読んで近くまで来ていて電話のあとすぐに父さんをアパートの前で降ろした後、ファミレスに迎えに来てくれて新居に向かった。
あの後、父さんはどうなっただろう。少しぐらいは、あの時捨てられた私たちの気持ちがわかっただろうか。
「母さんが元気そうでよかった。ところで、明日は朱夏の卒業式だよね?連絡は来てるの」
『私も心配になって朱夏に連絡したんだけど、電話に出ないから細矢さんに連絡したら、普通に生活してるって言うし』
「不貞腐れてるってこと?」
『どうなのかしらね。朱夏が妊娠してから、あの子のことがわからなくなってきた。どちらにしても明日の朝、細矢さんの家に行ってみるわ』
「そうね、私はもう関わらないと決めたから。とはいえ、二人きりの姉妹だからね心配はする」
『大丈夫、あんたは結婚式のことだけ考えていればいいから、朱夏のことは任せて』
「うん」
通話を切ると、ソファで背後から抱きしめている昌希さんに「母さんがよろしくって」と言うと「どういたしまして」と言いながら手はしっかり服の中に入ってきていた。
昌希さんも会社に行くのはもうあと数日になった。結婚式の前日から有給の消化のため休みに入ってそのまま退職となる。
「会社を辞めるのは寂しくない?」
「寂しくないと言えば嘘になるな、何より彩春と出会えたのもマテリアルなんだし」
「会社としては昌希さんにいてもらいたかっただろうね」
「会社から求められると言うのは嬉しいことだけどね、これから俺はまた新人として一から勉強し直しだからな。勉強と言えば彩春はどうした?」
「調べてみたらマテリアルの近くにスクールがあって4月の第二週から授業がスタートだって。ただ、昌希さんも大変になるでしょ、だから通信教育も考えようかと思って」
「俺のおすすめはスクールに通うことかな。俺のことは気にしなくていい。本当は彩春と結婚できるなんて思ってなかったんだ、一人で転職するつもりだったのに、家に帰ると美人で頑張り屋のエロい妻がいるんだからそれだけで頑張れるだろ」
真面目な話をしていたはずなのに気がつくと服がはだけている。
「ドレスを着た時、肩とか背中とか丸見えだから跡つけちゃだめだよ」
「了解」
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