<それぞれの春>

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〜相馬秋彦〜 美冬は美しい人で、付き合ってもらえるまで一生懸命、デートに誘って言葉を尽くした。 ようやく気持ちを受け入れてくれて、結婚まではそれほどの時間はかからなかった。 彩春が生まれ、順調に出世もして朱夏も生まれた。小さいながらもマイホームも手に入れてローンは大変だけど家族がいれば幸せだった。 ある時、接待で行ったキャバクラにいたのが希ちゃんだった。 名刺を渡され、俺も携帯の番号を渡すとすぐにショートメッセージをくれてそこからラインのやり取りも始まり、本名も教えてもらえた。 同伴をお願いされて食事をしてからお店に行くとサービスと言ってキスをしてくれた。 いつもより早い時間から同伴をした時、ブランドのバッグをおねだりされ買ってあげると店に行く前にホテルに誘われ今まで感じたことのない体験をした。 ジュエリーやお小遣いをあげると、何でもやってくれたし、若い子にあきにゃんとか言われるとそれだけで興奮した。 お金が足りなくてキャッシングを繰り返し、カードの限度額がくると別のカードを作ったりしていた。 マンションが欲しいと言われて、娘達の為の預金も渡した。 気がついた時は、マイホームのローンの返済が滞り家にあったはずの預金が全てなくなっていた。 綺麗だった美冬がやつれ、家族の形を失っていた。美冬が子供達を守るため慰謝料も養育費もいらないから、すぐに離婚して欲しいと離婚届を目の前に出されたときに、自分の犯した罪にようやく気がついた。
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