<それぞれの春>

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〜相馬朱夏〜 「朱夏ちゃん、どうしてそんなに結婚にこだわるんだ?オレはキミにいい感情を持ってない。むしろ嫌悪感を持ってる。キミだって別にオレを好きだとかそういう感情はないでしょ。そもそも、キミ達がオレにした事を忘れてはいないでしょ」 細矢さんが急にこんな事を言い出した。 「だって、子供には父親が必要でしょ。私は父親がいないせいで、いつも虐められていたんだから」 「だったら、最初から子どもができないようにすればよかったんじゃないか?キミの自分勝手な行動でオレはこうなってる」 「でも結婚するって言ったのは細矢さんでしよ」 「そうだね、あの頃のオレはキミに復讐することだけを考えていたから。でも、お互いこんな結婚は不幸になるよ」 「うるさーーーーい!!」 何よ何よ何よ何よ何よ何よ 子供に父親が出来ればそれでいいんだから。 父親のいない子はかわいそうなの! 「籍を入れるのは無事に子供が産まれてきたらにしよう。今のキミにちゃんと母親になる覚悟があるように思えない。考える時間を持とう」 もう、何なの! 晴子の元彼の話だと、細矢さんはなんでも言いなりだからって言ってたくせに。 お姉ちゃんとの結婚資金があるはずなのに100万円を出してくれないし。 家に帰るとキモオジがいるし。 あいつのせいで、ずっと貧乏で母さんだって家にいなくて寂しい思いばかりさせられていたのになんで今頃ノコノコ戻ってくるのよ。 しかも、父親ヅラしてお姉さんを見習えって。 どうせお姉ちゃんは偉いわよ。 どいつもこいつも本当に頭にくる 私は先生を愛しただけなのに。 あんなふうに切り捨てられても先生を好きな気持ちは変わらない。 どうせ、先生に愛してもらえないなら誰と結婚したって変わらない。 うるさいオヤジから逃れるために細矢さんのマンションに行くことにした。 荷物をもって行くと、驚いた表情をしていたが受け入れてくれた。 提案として、食事を用意するから食費を出して欲しいと言ったら3万円を渡された。 一緒に住むようになってから細矢さんの帰りが遅くなって食事はいらないと言われたから実質のお小遣いのようになった。
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