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必死の思いで階段を登りきり25階にたどり着くと、そこにはドラキュラ(まだ信じたわけではないが)の姿はなかった。
気が付くともう辺りは暗くなっており、綺麗な満月が出ていた。
仕方なく僕は1人自分の部屋へ向かうと、なぜかすでに僕の部屋の扉の前にドラキュラが立っていた。
「遅かったではないか、待ちくたびれたぞ」
「仕方がないでしょう!ここ25階ですよ」
「いやまさか本当に階段で登って来るとは思わなくて」
こいつ…なんなんだ。ほんとやな奴だ!
「しかし君は素直で真面目。そして実はけっこう根性もあるではないか。私は感心したぞ」
なっ、そんなこと言われても全然嬉しくないし騙されないぞ。…でもなんだろう、久しぶりに誉められてまぁいやな気はしないけど。
「あの、それより何で僕の部屋が分かったんですか?たまたまですか?まさか本当にドラキュラの特殊能力とか言って、心を読んだなんて言わないですよね?」
ドラキュラはあきれたような顔をしている。
「確かに私は君の家を尋ねはしたが……別に知らないと言った覚えはないのだが」
じゃあ最初から知ってて聞いたのかよ!やっぱりこいつは胡散臭い。っていうか嫌い。
「しかし君はまだ私がドラキュラだということを信じていないみたいだね」
まだ言うのかこのペテン野郎が。さすがに僕も言い返す。
「ドラキュラだって?そんなの誰かが造り出した架空のキャラクターでしょ!誰も信じやしないよ!」
大男はまたしてもあきれたような顔でこちらを見た。
「誰かが造り出したって?一体誰が?誰も信じないって?本当に誰も?」
あ~もぉホント嫌なヤツ嫌なヤツ!
「君には早速授業が必要みたいだね」
彼はそう言うと僕を指差した。
マズイ!これはさっきの不良達を吹き飛ばしたときと同じなのでは!?
「飛べ」
僕は次の瞬間あの時と同じように、今度は僕に向かって衝撃波が襲いかかり、僕はマンションの25階から放り出されたのだった。
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