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「そのまさかだ! ここから出て、北にある余った土地にこれから向かう!」
その言葉を聞いたクーシュカたちの瞳が一瞬だけキラリと光った気がした。その光を受けた大翔が警告をする。
「変なこと考えるなよ? お前たち。俺はルーチェほど優しくないからな?」
「あら、ヤダ。怖いわね、坊や」
「そうよ、そうよ。武力で訴えるなんて、物騒よ?」
「私たち、それなりに彼女には恩を感じているわ。変なことはしないわよ」
クーシュカマダムの気だるげな言葉に、大翔は一瞬だけ胸をなで下ろす。しかし初めて外に出るのだから、何があるか分からない。大翔は改めて気を引き締めるのだった。
そうしていると、外から、
「紐、持ってきたよ~!」
そう言ってルーチェがクーシュカ小屋へと入ってきた。
大翔はその紐をクーシュカたちに付けていく。数頭のクーシュカと仔クーシュカはおとなしくされるがままだった。初めての外の世界に少し緊張している様子である。
そしていよいよ、クーシュカがいる小屋の出入り口が開いた。
「さぁ、出ておいで、クーシュカたち!」
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