50人が本棚に入れています
本棚に追加
「オメェ、今、俺らのことを見てたべな?」
「あぁ?」
学校からの帰り道、五十嵐大翔、十七歳は通学路の田んぼのあぜ道でたむろしていたガラの悪い不良たちに絡まれてしまった。大翔は因縁を付けてきた不良たち三名を睨み付ける。その目は鋭かったのだが、不良たち三人も負けずに大翔を睨み付けてくる。
一触即発の状況の中、
「お前みたいな田舎の農業高校のヤツに、デカイ顔をされてたまるかよ。あぁ?」
一人の不良がそう言って大翔へと詰め寄ってきた。大翔は、はぁ、とあからさまなため息を吐き出すと、
「田舎モンは、お前たちだって一緒だっぺな」
そう呆れたように呟いたのだが、
「なんだとっ? 俺たちは進学校に通っているんだ! 農業高校と一緒にすんじゃねぇよ!」
「進学校が、そんなに偉いのかよ……」
言い返してくる不良たちの言葉に、大翔はますます呆れかえってしまう。
この五十嵐大翔、確かに県内の農業高校二年生である。自分で色を抜いて、少しまだらになっている短い金髪がトレードマークとなっている。髪の根元の方はもう伸びてきていて少し黒い。
最初のコメントを投稿しよう!