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ルーチェの楽しそうな言葉に従って、クーシュカたちは恐る恐ると言った風でその一歩を踏み出した。紐に繋がれた数頭のクーシュカと仔クーシュカは、ゆっくりとした歩みでルーチェの後について歩いている。そんなルーチェとクーシュカの様子を見守る形で、大翔は最後尾を歩くのだった。
こうしてクーシュカたちの大移動を行ったが、道中、大きな混乱も見られずにクーシュカたちは無事に余った土地へと到着できた。余った土地はおあつらえ向きに柵がしてあるため、ルーチェはここでクーシュカたちの紐を外し、自由にさせた。
「さぁ! ここにある草は好きなだけ食べて良いのよ! 自由に食べちゃって!」
ルーチェの言葉を聞いたクーシュカマダムたちが、のそのそと四方八方へと散らばっていく。そうして自分の足元にある草をゆっくりと食べ始めた。
ルーチェはその様子を見て嬉しそうだ。
「こんなに生き生きしたクーシュカたちを見るのは初めて! ありがとう! ヒロト様!」
「礼には及ばねぇべ。クーシュカマダムたちが静かだったから、ここまで無事に連れてこられたべ。全て、日頃のルーチェの行いだべな」
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