一、異世界への招待状

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「大丈夫ですか? 言葉、分かりますか?」 (……は?)  大翔には、目の前の谷間が喋ったような気がした。その声は高く澄んだ、美しい少女のもののように感じる。そこまで思考した大翔の意識がゆっくりと覚醒していき、 「乳――っ!」  思わず叫んだ大翔は、身体をガバッと勢いよく起こす。  大翔の心臓は突然現れた谷間にバクバクと早鐘を打っていた。 (なんだ、なんだ? 俺は確か、さっきまで喧嘩していて……)  そう、ヤンキーに絡まれた大翔はいつものように喧嘩をしており、 (それから、後ろから一発殴られて……)  その拍子に気絶してしまったのだ。 (と、言うことは、ここは、病院か何かか?)  その割には先程、かなり騒がしかったような気がする。 「あの、もし?」 「は?」  ぐるぐると回る思考の中、大翔は再び谷間から美しい声で話しかけられた。いや、正確には谷間の持ち主から声をかけられたのだが、今の大翔にはそこまで考えを及ばせる余裕がない。 「どこか、具合が悪かったりなさいますか?」  なおも谷間から声をかけられた大翔は、そこでようやく視線を上に持って行き、眼前に現れた声の主の顔を見る。そしてその様相に言葉を失った。
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