Chapter1

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『舞花!?』 「朝はごめん。やっと仕事終わった」 『はぁ……良かった』 隼也は、私からの電話にホッとしたような声を出した。 「土曜からずっと連絡してくれてたんでしょ?ごめんね」 『いや、それは全然いいんだけどさ。具合は大丈夫か?』 「ん?うん。大丈夫」 そう言えば具合悪くて寝てたって言ったんだっけ。 自分で言い始めた言い訳が、どんどん自分の首を絞めていくような気がしないでもない。 ふと、沈黙が訪れて私が道を歩く音だけが響いた。 「隼也?」 呼びかけると、電話の向こうで言葉を濁しているのがわかる。 「何か用があったんじゃないの?」 『……あの、さ。金曜日……』 「……金曜日?あぁ、隼也酔い潰れちゃったから運ぶの大変だったよ。もう本当、飲み過ぎ注意!」 努めて明るく振る舞うものの、心臓はバクバク言っているし気を抜けば声も震えてしまいそう。 あの時の情事を思い出すだけで赤面してしまう。 『あー……いつも悪いな。迷惑かけて。今度金払うから。マジでごめん。ありがとう』 ほら、隼也はいつも通りだ。 やっぱりあの夜のことなど、何も覚えていないのだろう。
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