Chapter1

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だって。 何か返事をしたら、墓穴を掘ってしまいそうで。 実際に会いでもしたら、どんな顔をしたら良いかわからなくて。 何も無かったような振りなんて、絶対できない。 そう思ったらズルズルと連絡できない時間が続き、そのまま無視してしまっている状態が続いていた。 だからって、このままじゃダメだってことは自分でもわかっている。 始業時間まではあと数分ある。 スマートフォンを握り、意を決してメッセージを開いた。 "ごめん、土日ずっと具合悪くて寝てたから充電落ちてたの気付かなかった" そんな、わかりきった嘘をつく。 するとずっと私からの返事を待っていたのか、すぐに隼也からの電話が鳴った。 しかし、もう始業時間だ。 『あ、舞花!?やっと連絡ついた』 「ごめん。もう仕事始まるから切るね」 『あ、おい!』 これは嘘じゃないから。 そもそも隼也だって仕事だろうに。私にかけてきて一体何をしてるんだか。 隼也に申し訳程度に適当なスタンプを送信して、立ち上がったパソコンでメールチェックを始めた。
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