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『舞花!?』
「朝はごめん。やっと仕事終わった」
『はぁ……良かった』
隼也は、私からの電話にホッとしたような声を出した。
「土曜からずっと連絡してくれてたんでしょ?ごめんね」
『いや、それは全然いいんだけどさ。具合は大丈夫か?』
「ん?うん。大丈夫」
そう言えば具合悪くて寝てたって言ったんだっけ。
自分で言い始めた言い訳が、どんどん自分の首を絞めていくような気がしないでもない。
ふと、沈黙が訪れて私が道を歩く音だけが響いた。
「隼也?」
呼びかけると、電話の向こうで言葉を濁しているのがわかる。
「何か用があったんじゃないの?」
『……あの、さ。金曜日……』
「……金曜日?あぁ、隼也酔い潰れちゃったから運ぶの大変だったよ。もう本当、飲み過ぎ注意!」
努めて明るく振る舞うものの、心臓はバクバク言っているし気を抜けば声も震えてしまいそう。
あの時の情事を思い出すだけで赤面してしまう。
『あー……いつも悪いな。迷惑かけて。今度金払うから。マジでごめん。ありがとう』
ほら、隼也はいつも通りだ。
やっぱりあの夜のことなど、何も覚えていないのだろう。
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