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俺は初めての恋に落ちたが為に殺された。
俺は前世の記憶を持っている。
自分がどうやって死んだのかも、いや殺されたのかも。
どのような生き方をしたのかも俺は覚えてる。
俺の生き様に後悔はしてない。
彼女に会えて良かった。
齢20歳にて当時のことを思い出した。
俺には命をかけて愛した女がいた。
大好きだった。
けれどもその愛は誰からも認められなかった。
ある男がいた。そいつも彼女のことが好きだったのかしつこく最期までずっと彼女から離れず、ひっついていた。
誰からも認めてもらえぬ恋。許されない恋。
彼女の親には娘に近づかぬよう言われ、手切れ金を貰った。
もちろん受け取らなかった。
俺たちの愛はそんな安いもんじゃない。
ただひたすら彼女のことが好きだった。
もし周りが許し、俺たちが一緒になれたら彼女が俺に向けたであろう優しい瞳、それが最期俺の脳裏に浮かんだものだった。
そうして俺は殺された。
けれど俺は生まれ変わった。
前世の記憶を持って。
大学二年生、彼女のことを思い出した俺はある場所へ向かった。
彼女の墓参りを済ませ、彼女が眠っているであろう地に囁く
「会いたい」
彼女に花を添える。ラベンダー。彼女は紫が好きだった。
洗剤はお揃いのラベンダーの香り、
会うことを禁止され匂いだけでも同じでいたかった俺たち。
今はただ愛しい彼女に早く会いたい。
けれどそれはもう無理なことだ。
社会人1年目、俺は彼女に再会した。
小さな喫茶店、彼女が好きだった本をカフェラテを飲みながら読んでる。
外見は違う、けど間違いなく彼女だ。
同じ匂い、同じ雰囲気
魂がこの子だと叫んでる。
そっと肩を叩く。
彼女が目を見開く。
やっと会えたね。
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