さいごのチュール

2/5
24人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
 生まれて十八年。短いようで長い人生だった。  湿ったダンボールの中で震えていた私を抱き上げてくれたご主人さま。  私を飼うために泣いて両親を説得してくれたご主人さま。  そっけない態度をとったのに、布団に入れてくれたご主人さま。  壁に傷をつけても怒らなかったご主人さま。  贅沢本マグロチュールを週に一度だけくれるご主人さま。    私は、ご主人さまのおかげで人生を全うすることが出来た。  元気に跳ね回れない私には『ありがとう』という気持ちを込めて頭を擦り付けてか細く鳴くことしか出来ない。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!