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邂逅
徹夜明けの今日は卒業式だ。
ちっとも嬉しくない。
周りでは涙を流している生徒もいるが、私はちっとも泣けなかった。
そのまま卒業式は終わった。
その後、私たちのクラスは集まった。
どうやらタイムカプセルを埋めるらしい。
くだらない。私は適当に制服のリボンをとって、入れた。
埋めるのは男子たちがやってくれた。
本当なら彼もいたのだろう。
悲しい。辛い。もう帰ろう。
そう思った。
その時、桜の花弁が私の肩に乗った。
その花弁を、見ていたら、悲しくなってきた。
「ごめん、もう帰るね」
「すいません秋桜さん。卒業アルバムだけ渡しておきますね」
担任だった猪名先生が卒アルを渡してくれる。私は受け取った。
その時風でページが開いた。そこには油性ペンで、こう書いてあった。
『秋桜。ごめんな?俺、秋桜を困らせたよな。俺、病気だからって勝手な理由で告白して、秋桜は優しいよな。ごめんな。自分勝手な俺で。ほんとにごめんな』
「ばか、、、っ、、、本心だし、、、、」
風が、やさしく私の頬を撫でる。
彼のように。
私は、空を見上げる。
そこでは桜の花びらが舞っていた。
私は思った。
『春がきたら、笑って桜を見上げよう』と。
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