本乃しおりの世界線がヤバいらしい

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本乃しおりの世界線がヤバいらしい

一  「『俺の封印されし右腕が疼くうううっ!!!』という殺害予告。これは犯人は右利きの人間であるという証拠ね」 不可解な殺害予告のメッセージを事件現場に残して去っていく、殺人犯が現れた。こういった類いの殺人犯は都市伝説だのホラー映画のキャラクターだの名前を拝借して、犯行を繰り返すものだが、今回のは、何かが違った。 「これだけで、殺人犯が右利きの人間だという証拠になるの?」 そんな殺人犯が残した中ニ病としか思えないメッセージを、真っ正面から読み解き、推理するむち探偵も他の探偵とは違っていた。ぼくは思わず、その根拠を訊ねてみた。 「犯人が左利きの場合、封印されし左腕が疼くっ! になるはずだけどこの人は右腕と記載している。しかしわざわざ普段使わない左腕を封印するのも不自然だし、利き腕を封印して反対の腕を犯行に使うのは逆にリスクが高すぎるのよ。だから、犯人は右利きで」 「右利きで?」 「性別は男性、年齢は十八歳くらいの未成年といったところかしら」むち探偵はそこまで推理していた。 確かに中ニ病は、年齢十八歳くらいの未成年者、男性に多い特徴といえる反社会的選民思考型パーソナリティー障害だが。 「この文章、一人称が「俺」になっている。これが何よりの証拠ね、次の殺害予告メッセージを読み解きましょうか」
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