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予期せぬ衝撃に驚いて身体がのけ反ると、すぐに楓佳の反応を責めるような言葉が落ちてきた。その智希の表情も快楽に歪んでいるが、どこか楽しそうにも見える。
「あっ、ぁ、ン……だめ……ぇ」
「ふーか? ほら……ほらっ」
「あっ……あ、あん……」
「あんあんじゃなくて」
彼はどうしても楓佳に猫の鳴き真似をさせたいらしい。それに何の意味があるのか、楓佳には全く理解できない。けれど智希は腰をゆるく打ち付けてねっとりと膣内を抉ってくる。そのなだらかで的確な快楽は、声を我慢しようと必死な楓佳から判断力を奪い取った。
「や、にゃ、ぁ」
ぱちゅ、ぐちゅ、と水を含んだ音の中に、拒否の言葉が混ざって溶ける。彼の要求に応えるような言葉が漏れてしまったのは、シーツに手をつくように腰を固定されて激しく責めたてられたせいで、呂律が回らなくなっただけ――と言い訳したいところだったが、智希はそうは捉えなかったらしい。
く、と顔を歪ませた智希がさらに体重をかけるように楓佳の脚を折り曲げて深い場所まで陰茎を埋めてくる。そうして顔の位置が近付いたことで、楓佳にも彼が発した言葉がよく聞こえるようになった。
「……んだよ。心配になるほど可愛いな」
「!?」
ぽつりと呟いた言葉に、体温が急上昇する。ともすれば聞き逃してしまいそうなほどささやかな褒め言葉ではあるが、元来智希は人を褒めるような言葉をあまり口にしない。まして付き合いが長い楓佳を今さら褒めることなど滅多にないのだ。
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