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なのに急に『可愛い』と褒められれば、楓佳もつい照れてしまう。パッと視線を反らしてしまう。その一瞬、上から智希の舌打ちが聞こえた気がした。それが事実か気のせいかを確かめる前に、彼の腰遣いが唐突に激しさを増す。
「あっ……ゃあ、あッ」
「っ、楓佳……」
「ん、んんぅ……ふぁ、あっ」
一瞬止んだはずの動きが再度急加速する。ぐちゅ、ずちゅ、ぬちゅ、と濡れた音が部屋中に響くと、あんなに堪えようと思っていた声が止め処なく溢れてきてしまう。
「ゃあ、あん、にゃ、あっ……」
「っく……ふ、ふーっ……!」
「あ、に、ぁあ、ぁんっ……!」
猫のように鳴いて、だなんて恥ずかしい。そう思っていたはずなのに、まるで智希の言葉に操られたように子猫のような甘え声が溢れてしまう。
否、子猫のように愛嬌があって甘くじゃれつくような声ではない。必死に手を伸ばして智希の首に掴まり、嵐のような抽挿に耐えながら零れる声はもはや発情したメス猫のようだ。
「にゃー……」
「!?」
快感に溺れる楓佳のそんな声は、やはり少しうるさかったのかもしれない。
か細い声がした方向へ首を回して視線を向けると、つい先ほどまでちゃんと眠っていたはずの子猫がタオルの中でもぞもぞと動いているのが見えた。ああ、と思った瞬間、ブランケットとタオルの隙間から、子猫の頭がぴょこんと持ち上がる。部屋が薄暗いので表情までは見えないが、やはり起こしてしまったみたいだ。
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