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口ずさみたくなるような明るいクリスマスソングが、音符を踊らせるように歩道を通りすぎていく。店頭に置かれたディスプレイ用のツリーがピカピカと輝き、街全体はクリスマス色に染まっていた。
大学受験に向けた放課後の補習授業を終えたユキと遥は、聖夜を楽しもうと街に繰り出していた。
「ねえ、ねえ! ケーキ食べたあとにカラオケ行こうよ」
「おっ、賛成! ユキんちは門限何時?」
「私は自由なのよ。女神の独り暮らしだから」
「そっか、ユキは親御さんいないんだっけ。それで自由の女神ってか。強ぇな、ユキは」
「身内がいないからって、じめじめしてらんないよ! 人生は一度しかないのよ」
「よぉ~し、オールすっか!」
「おぉ~!」
二人は顔を見合い、お腹を抱えて笑い合った。
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